山麓園太郎です。サワディーカップ。今回はお知らせです。
ディスクユニオンの出版部門 DU BOOKSは「作編曲家 大村雅朗の軌跡 1951-1997」や「TR-808<ヤオヤ>を作った神々」等、音楽好きが椅子から全員立ち上がる程ネタチョイスがどうかしてる(ほめてます)スーパーファビュラスな出版社なんですが、まもなく「アジア都市音楽ディスクガイド」という新刊が発売になります。DU BOOKSのサイトから紹介文を引用しますとまずサブタイトルに
「韓国・台湾・ベトナム・タイ・インドネシア・香港・マレーシア・シンガポール・フィリピン・中国・ラオスの良曲600選」
とありまして、かつてこれほどアジア全体にまたがった選曲を誇るディスクガイドは出た事が無いんですが、内容紹介にも「70年代の名作から、配信のみの新世代まで、アジア音楽のディガーたちが各国の良曲を厳選。City Pop, Light Mellow, Future Funk, Boogieのファンにもオススメする600曲!」とあり、幅広い時代から「都市の音楽」という基準で選曲されているんですね。
それぞれの国には都市があり、それぞれに時代による変化と発展の歴史がある。それを音楽を軸に眺める事で隣国への流行の波及の仕方や欧米との関わり方も見えてくる、という読む前からとてもワクワクさせられる本なんです。
Spotify等で過去の音源に簡単に触れる事が出来るようになった代わりにその数は膨大すぎて、「探している曲に辿り着けない/探し方がそもそも分からない」中、やはり頼りになるのはアジア音楽のディープなディガーによるレコメンドでしょう。この本にはそんな600曲が詰まっています。監修は菅原慎一+パンスのお二方です。
そして書誌情報では「インタビュー&コラム」の所に僕の名前が載っておりましてね。あろうことか柴崎祐二さんや長谷川陽平さんといった有名人の方々を差し置いて最初に載ってるからもう困っちゃって。これ五十音順だからこうなってるんで。偉い順とかじゃないんで。
僕はこれまでに文章の仕事としてはCD「ベスト・オブ・シンディ・スイ」のライナーノートやKKBOXでのSTAMPインタビュー などいくつか経験していますが、自分の事を「音楽ライター」とか「音楽評論家」だとは1ミリも思っていません。音楽学校の落第生でポンコツ耳で教養も語彙力も無いただの音楽好きが、「タイポップス」という最近ちょっと注目のジャンルにたまたま10年も前からどっぷり浸かっていたからその体験談と経験則を頭から湯気を吹きながら文章の形にしてるだけなんです。
でもあちこちの音楽雑誌で名前を拝見する凄い方々に囲まれてしまったら、もう開き直って自分もその一員の顔をするしかありません。何よりこの本は「アジアの音楽をもっと日本に!」という我が社の社是を具現化したような本です。書くしかない!という事でコラムを(頭から湯気を吹きながら)寄稿しました。
タイのシティポップの歴史に触れながら重要作品を紹介する「コラム内ディスクガイド」として書かれていまして、タイパートの選曲選盤は僕とは別の方が担当しておられますが偶然にもその方のレビューと僕のコラムが前編後編といった趣で1980年代~2021年までをカバーする、という仕上がりになっています。
僕のブログには殆ど登場しない「歌謡曲にじわじわと洋楽の要素が染みていった1980~1990年代」の楽曲も、タイポップスの成立には欠かせない歴史ですのできっと楽しく読めると思います。
「アジア都市音楽ディスクガイド」2022年1月28日発売予定。
Amazonや楽天ブックス、DU BOOKSのサイトで予約受付中のほか、もちろんお近くの書店でも予約する事ができます。
僕は2年前まで書店員でしたから申し上げますが、小説やコミックといった本と違ってこういった「ファンのための専門書」は発売日に書店にいけば積んであるものではありません。大きなお店でも入荷は2~3冊というのが普通で、0冊というお店もざらにあります。ですからぜひ早めに予約してください。発売日の2週間前にはもう、ネットも含めどこに何冊入荷させるかが問屋さんによって決まってしまい動かせません。
僕はタイポップス探検家になる前、バリ島旅行で現地のクラブミュージックのCDを買って以来、香港/シンガポール/ベトナム/インド等アジアの音楽に魅了されてきました。僕自身も読者として発売日にこの本を手に入れて読みふけるのを楽しみに待っています。一人でも多くの方がこの本に興味を持ってくれたら嬉しいです。みんなで買って読もう!
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