TBSラジオ「アフター6ジャンクション」出演+Bonus Track

タイ音楽

山麓園太郎です。サワディーカップ。

2015年からローカルFM局で「タイポップスが凄いからみんな聴いて!」と言い続けておりましたら、まさかの在京キー局、しかも僕の敬愛する菊地成孔さんの「粋な夜電波」を放送していたTBSラジオ、しかもしかも超人気の帯番組「アフター6ジャンクション」からお呼びがかかりまして、珍しくガチガチに緊張しながらリモートで出演してまいりましたよ。既に番組公式からトーク部分のポッドキャストと放送でかけた曲のプレイリストが公開されています。

こちらを聴けばどんな特集だったかはバッチリ

ラジオ出演の際の常で、タイポップス推しが過ぎる僕は放送時間に収まるはずがない量のテキストを用意し、ごく一部をトークしただけでも時間が超過して、最後に予定してた1曲がこぼれる。という、まぁいつもの事態になりまして、それをこのブログで補完するというこれまたいつもの事態をこれから皆さんに公開する訳ですが、

今回ばかりは頂いた反響がとにかく桁違いでしたので(ありがとうございます!)、放送を聴いてくださった皆さん、急に増えた僕のTwitterのフォロワーの皆さんにはボーナストラックとして楽しんで頂ける内容になるんじゃないかと思います。早速参りましょう。

放送用原稿から、未使用ネタをピックアップ!

FEVER「IF YOU WANT ME」

・これまた神曲「Underground」とどっちにするか迷いましたが、なにしろ番組パーソナリティーがライムスター宇多丸さんですから、後半にラップパートがあるこの曲を選びました。FEVERについて語っていた時、一部音声に不調がありスタジオに届かなかった部分では「カッコいい楽曲に加えて、メンバー12人別々の動きで成立する、複雑で立体感ある振付けが特徴」と、Perfumeとの類似性を語りました。

・この曲にはメンバーのひとり、Ceeが参加していません。(体調不良の為休養中です)

・この後のトークのBGMでかかった「Stop!」はタイポップス特集を企画するにあたり僕のブログを見に来た番組ディレクターさんが記事を読んでFEVERファンになってしまい(笑)追加でぶっこんだ1曲です。

・メンバーのひとりBaifernの日本趣味について:日本に来た事はないけれど、日本のゲーム(お兄ちゃんと初代プレイステーションで遊んだ「爆走デコトラ伝説」)のBGMの演歌(演歌とルークトゥンはよく似ている)とアニメで育ち、YouTubeで80年代の日本のアイドルを見てその髪型やファッションに惹かれて大好きになる。彼女はアイドルだから直接会う訳にはいかないので事務所経由でレコードと日本の音楽雑誌をあげた事がある。最初は「松田聖子と中原めいこと竹内まりやが欲しいです」と言われて、3回目に「次は何が欲しい?」と訊いた時には「いしだあゆみと園まりと東京ロマンチカ」って言われた(笑)。深掘り過ぎだろ!ディープ過ぎて逆に「よーし!おじさんに任しとけ!」みたいな使命感が沸き上がり全部揃えたが、コロナでタイに行けなくなってまだ渡せずにいます。

・FEVERの凄さについてはとにかくステージ映像を見るのが一番!僕のオススメは音楽フェスCat Expo6でのこちらのファンカム。Cat Radio公式の動画よりカット割りが良い(笑)。1曲目「Ghost World」だけで伝わると思います!ファンがミックスを打たないのも「楽曲派」と呼ばれる所以です。

(BGM)The Kopycat「A Night Ride」

・1950-70年代の曲が大好きなヴォーカルのMuが、「オールディーズのムードを現代の音楽に取り入れてみよう」と結成したバンド。この曲はマージー・ビートだが、デビュー曲はロッカ・バラードだった。過去記事「タイのサバーイなバンドにルーツを訊いてみた」でも詳しく取り上げています。

Plastic Plastic「The Previous Day (วันก่อน)」

・この曲のMusic Videoに登場するCDショップこそが、僕とタイのアーティスト達を繋げてくれた「ノーン・タープラチャン」。その名のとおり、王宮の裏手、タープラチャン船着き場にあります。チャオプラヤー川のツーリストボートに乗ってター・マハラート船着き場で降りて徒歩で行くと交通渋滞が無くて早い上に、途中スタバも入ってる商業施設があって休憩ができる。

ノーン・タープラチャン · 14 ท่าเรือท่าพระจันทร์ Taprachan Pier (near Thammasat University), พระบรมมหาราชวัง Phraborom Maha Ratchawang, พระนคร Phra Nakhon, Bangkok 10200 タイ
★★★★☆ · CD ショップ

Rattana「Hello Ocean」と日本のシティ・ポップ

・日本のCDやレコードをタイへ持って行く:子供の頃TVで「スラムダンク」や「ドラゴンボール」を見てた人が多いので(「美少女戦士セーラームーン」や「気まぐれオレンジロード」も人気だったそう)、そのOP/ED曲のCDをおみやげに持って行く事もある。渋谷系やシティ・ポップも当然喜ばれる。向こうでは山下達郎のレコードが日本円で1万円位で売られているけれど、これは現地の金銭感覚では大体3万円位の感じ(タイの大卒初任給はおよそ7万円と言われています)。Rattana君をはじめ、僕がレコードをあげる相手はミュージシャンだからメルカリで転売したりしない(笑)。何度も聴いて、吸収して、いつか新曲という形で返してくれる。そこが良い。

Princeのカセットとオメガトライブのレコードと音楽雑誌をあげた時の写真(2020年2月)。Rattana君・僕・うちの社長

ちなみにこの曲には日本語詞とヴォーカルをLUCKY TAPESの高橋海さんが担当したjapanese versionもありますので、聴き比べてお楽しみください。

JK Bua「8:10AM (แปดโมงสิบ)」

・放送では「ジョケーブア」とご紹介しましたが、タイ在住の語学関係者の方から発音は「ジョケーブア」が正しいです、とのご指摘を頂きました。ありがとうございます!

・トラックダウンとマスタリングが上手過ぎる話:現代の音楽制作環境の標準システムの一つであるLogic Pro9とMacBookを使っているそうですが、「カットする周波数については納得がゆくまでとことん試行錯誤する」そうです。インディーズの音源でよく見られるのが、「各楽器の音域が重なり合って全体として濁り、ぼんやりした仕上がりになってしまう」事。必要無い周波数をカットする事でどのパートも聴き取りやすくなり、プロのクオリティに近づきます。「カットする周波数」についてはPrinceも同じように独特のセンスを持っていました。エンジニアからすると「え?そこ削っちゃうの?!」というセオリー外のやり方なのに、ミックスして聴くとあのPrinceサウンドになっている、という。

・エレクトロポップは近年、バンコク以外の都市(北部チェンマイや東北部コーンケーン)でも若い世代を中心に人気が高まっているそうです。

(BGM) Nisatiwa「หมอกควันสีจาง (Faded Haze)」

・これは放送では目立ちませんでしたが、タイのエレクトロ・ポップ・シーンの新世代。タイの伝統楽器とエレクトロを組み合わせたスタイルです。

(BGM) mamakiss「Weekend」

・mamakissもシティポップ愛をストレートに楽曲に投影するバンドですが、キーボード・ソロの音色やフレーズを聴けば分かるようにカシオペアからも影響を受けていますね。タイポップスの「デジャヴ感」はJ-POPや洋楽以外にもJ-FUSION(当時はクロスオーバーとも言いました)からの影響を見逃すわけにはいきません。高中正義や渡辺香津美がオーディオ機器のTVCMにガンガン出ていた時代でした。90年代のジャパン・カルチャーから入った彼らにとって、80年代は地続き的に掘りやすい対象だったんだと思います。

・彼らもSHE IS SUMMERに「MOON LIGHT」を楽曲提供しています。僕もそのSHE IS SUMMERのツアー会場でちょうど来日中の彼らに会ったんですが、親しくなったきっかけは僕の「しばらくはタイに行けないんだよ。2週間前にBNK48の握手会から帰って来たばかりでさ、旅費がもう無いんだ」の言葉に対する「僕も大ファンなんだよ!誰推し?」という返しでした(笑)

左からFEVERのライブでドラムを担当するPoonさん、mamakissのWinさんとIkkyuさん(FEVER「Password」の作曲者)、Gym And SwimのメンバーでFEVER制作チーム総帥のChalermさん

(こぼれちゃった1曲)quicksand bed「Sugar Walls」

・クラブシーンでは1960~70年代のタイのレア・グルーヴが「タイ・ファンク」として人気ですが、現在進行形のタイ・ファンクもかっこいいので聴いて欲しい!と、最後にスタンバイしていた曲。Snoop Doggからの影響を受けて書いた曲だそうです。「その他に影響を受けたアーティストは?」と訊いたら、The Internet/Anderson Paak/Free Nationals/ Samm Henshawの名前を挙げていました。歌詞のエロさはPrince並みだけどなぁ(笑)。かけられなくてごめんね!

いかがでしたか?
リモート出演のため、どうしても音声にタイムラグが出てしまいます。対面での生放送に慣れている僕は会話のテンポがいつもと違うのに戸惑ってしまい、宇多丸さんの振りに上手く返せなくて悔しかったので次回こそ!と思っています。でも、FEVERがかかった途端にスタジオの宇多丸さんはノリノリで、スマホでMusic Videoをチェックし、その場でサブスクのお気に入りに登録していたのでした。ラップパートに対する論評も愛があったし、頼もしかったなぁ。さすが「マブ論」著者!

そして放送後のTwitterでの反響に自分でも驚いています。選曲を絶賛してくれる方が多くて。僕は東日本大震災の翌年というタイミングでタイポップスに出会って本当に救われたので、コロナ禍の今、毎日のニュースに重たい気持ちになっている日本人にこそタイポップスは役に立つはずだ!と、タイポップスと音楽の力を信じて出演を決めました。出て良かったと思います。番組を聴いてくださった皆さん、宇多丸さん、アナウンサーの日比麻音子さん、番組スタッフの皆さん、ありがとうございました!

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