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Jelly Rocketとお店のBGM

タイ音楽
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山麓園太郎です。サワディーカップ。
今回ご紹介するのはJelly Rocket。女の子3人組のドリーム・ポップ・バンドです。

実は知らないうちに耳にしたことある人が、日本にも沢山いると思います。というのは、最近ショップ等でBGMにタイポップスがかかることが増えてきたんです。

僕はJINSで社長とメガネ見てた時にJelly Rocketの「Stay」がかかって「あ!Jelly Rocketだ!」と2人で反応したんですけど、店内の他のお客さんは当然BGMとして聞き流してるんですね。もしスマホ取り出して Shazamに聴かせたりする人がいたらもちろんShazamより早く「Jelly Rocketっていうタイのバンドですよ・・・」って教えましたけどね。

JELLY ROCKET – Stay [Official Music Video]

他にも飲食店でPhum Viphritがかかってた、とかあちこちでタイポップス好きの同士からの報告を聞くんですけど、お店のBGMっていうのは

:店長が決めてる
:本部の人が決めてる
:もっと偉い人(社長とかブランドのデザイナーとか)が決めてる

っていうパターンが殆どで、さらに

A : 選曲にもこだわってる。時間帯別や店の雰囲気に沿って独自に選曲されたリストがある
B : 大まかなコンセプトがあって、それに合う有線を使ってる(デジタル音楽プレイヤーやCDを使ってる店もきっとあるけど、本当は著作権法上はアウト)

の2つに分かれます。3-Aのいい例が無印良品ですね。自社BGMまで商品化してる。earth music&ecologyもそうです。1-Bは一番多いパターンで、イオンの中のアパレルショップは大抵これだと思いますけど、これは本当に店長の人格までわかる(笑)。同じレディース系のショップでも、気分を華やかに盛り上げるbpm125辺りのちょっとだけマニアックなポップスを趣味良い音量でかけてる「わかってる」店長もいれば、セールストークにも支障がありそうな大音量でひたすらbpm150超えのEDMチューンを連発する店長もいます。もちろん僕はそういう店で買い物しないから、通り過ぎながら「ボリューム15と17は全然違うんだけど、君きっと0と50と90の3つしか区別ないよね?」と思うだけですけど。選曲と音量ってほんとに重要。

そして有線も最近はチャンネルが500以上あって、公式HPから掘っていくと面白い発見が多々あります。業種別に膨大な分類になってて、金融機関では窓口とATMコーナーでBGMの提案が違うし、スナックとキャバクラも全然違う(キャバクラ用チャンネルがあることにまず驚いたけど)。

こうした、空間演出の目的で意図的に選ばれる音楽が「昨今ラーメン屋でジャズがかかりがちな問題」の一端を担ってるのも確かですけど、その一方で「洋楽ヒットにしれっとタイポップスが混ざる」ことについて僕はむしろ痛快だし歓迎だし、バンコクのシティ・ポップスがその位アメリカやヨーロッパの音楽とニアリー・イコールな証明なんだから、もう国とか言語で音楽を分けること自体ナンセンスじゃない?と感じます。

有線にはその名もズバリ「タイ・ポップス」というチャンネルもありますけど、JINSで僕が聴いたのはきっと「ドリーミー・ポップ」チャンネルか、JINS独自のプレイリストでしょう。いずれにしても嬉しいことです。

さて、Jelly Rocketのご紹介が遅れましたが、初来日公演は2016年5月です。同じく女の子3人による3ピースロックバンドYellow Fangと共に来日し、渋谷で初ライブを経験した後、浜松市で開催された「ASIA MUSIC FESTIVAL 2016」に出演しました。僕は既に小川真一さんの番組、FM豊橋(現・やしの実FM)「ラビット・アワー」に数回出演してタイポップをかけまくっていましたが、タイポップスのバンドを生で見るのはこの時が初めてでした。「ドリームポップ」という言葉そのままの、きらめきと浮遊感とちょっぴりのほろ苦い涙を感じるサウンドにしびれた僕はステージを終えたばかりの3人に突撃して中学英語で自己紹介し、ぜひ番組で紹介させて欲しい旨を伝えました。インタビューと放送はその翌月でした。

ASIA MUSIC FESTIVAL 2016にて

[Jelly Rocket interview (2016.06)]

山麓:3人の出会いはどんなものだったんですか?
Jelly Rocket:Pak(keyboard)とPun(vocal)は幼なじみですが、それぞれ別の高校に進学してから疎遠になっていました。Mo(guitar)とPakが同じ大学(マヒドン大学の音楽科)で知り合い、音楽の趣味が同じだったので「バンドを組もう!」ということになりました。その時ちょうど中学の同窓会でPakがPunと再会して、歌に熱心になっていたPunをその場でスカウトしました。私達3人は、出会った瞬間からJelly Rocketとしてスタートしたんです。

山麓:PakさんとMoさんは音楽科で何を専攻していますか?
Pak:ジャズピアノです。
Mo:音楽技術全般です。録音やミキシングといったスタジオ技術やステージ演出ですね。副科でギターも専攻しています。

山麓:サポートメンバーとして参加したSafeplanetのプレイもとても素晴らしかったです。彼等も楽曲制作に関わっていますか?
Jelly Rocket:曲は、ベースラインやドラムのリズムも含めて私達3人がパソコンで作るデモが草案になっていますが、Safeplanetのメンバーは皆素晴らしいミュージシャンなので、スタジオで一緒になった時にデモを聴いてもらい感想を訊くことはあります。彼等からもっと新鮮で格好良いアイデアを提案されてベースとドラムのアレンジを変更するんです。彼等にはいつも感謝しています。

※Safeplanetは2019年10月に1stアルバムの日本盤がリリース予定。朝霧JAM 2019への出演も決定しています。

山麓:3人それぞれにお訊きします。大好きなミュージシャンを1人挙げるなら誰?
Pun:色んな音楽を聴きますけど、一番のお気に入りはヒップホップやR&B、そしてEDMです。だから1人だけならNe-yoですね。彼の歌声と作曲の才能は本当に凄いです。
Mo:(潔くたった一言)カート・コバーン。
Pak:タイのロック・デュオSqweez AnimalのSinghaが好きです。

山麓:CDリリースの予定はまだないですか?(注:この時はまだデジタル配信だけのリリースでした)
Jelly Rocket:アルバムの制作予定あります!2016年末には完成させるつもりで新曲を書いています。
(注:その後初のアルバム「Lucid Dream」が2017年1月に完成。2018年春にはボーナス・トラックを追加した日本盤もリリースされました)

2018年・日本盤発売時のタワーレコード名古屋パルコ店での展開

山麓:最後の質問です。日本滞在中に、一番楽しかった買い物の思い出を教えてください。
Pun:移動時間の多いスケジュールだったので、友人と家族のために少しのおみやげを選ぶ以外はあまり買い物に出かけられませんでした。でも一番の楽しみは食べ物でした!どこに行っても凄くユニークな沢山の種類の食べ物があって、どれもとっても美味しかったです!(注:コンビニでお菓子を沢山買っていました。中でもUHA味覚糖の「コロロ」に衝撃を受けたようで、あまりに恋しがっていたので後にタイまで持って行って渡しました)
Mo:ドン・キホーテが最高でした。手頃な価格で良質で、しかも私達が泊まったゲストハウスから徒歩5分だったんです。
Pak:浜松での演奏の後河口湖へ富士山を見に行った時が一番楽しかったです。そこでおみやげをいっぱい買いました。日本の全部がとってもかわいいです!

JELLY ROCKET "LIVE IN JAPAN"
彼女たちにとっても特別な思い出となったようで、滞在中の様子を動画でアップしています

このインタビューの後、僕は現地の音楽フェス「Cat Expo 3D」で彼女たちと再会します。アルバムリリースの翌月というタイミングもあり、客席はご覧の通り満員で、改めて現地での人気の凄さを実感しました。

物販ブースで再会。アルバムはこの後SOLD OUT!

さて、現在の彼女たちそれぞれの近況をお伝えしましょう。

Punは新たに「LUSS」というユニットを結成して、インタビューで語っていたようにヒップホップ/R&Bに取り組んでいます。

LUSS – RIDE OR DIE【Official Music Video】

Pakは「fluffypak」名義で新曲をリリース。Jelly Rocketの楽曲の殆どは彼女が書いていましたから、その音楽性を強く引き継いだものになっています。

fluffypak – คนเหงา (Sad Tale) [Official Music Video]

Moは「Faustus」というバンドに加入。これまで見せたことがないほどロック的なスタイルで、彼女がもともと秘めていたものが遂に表に出た、という感じです。

Faustus – So Collapse

ここまで読んでお分かりの通り、現在Jelly Rocketは活動を停止していて、メンバーはソロで活動しています。

これまでのキャリアをアルバムにまとめ、やり切った感があったのかもしれません。
3人のやりたい事がそれぞれ違う方向へ向いたのかも。

「Lucid Dream(明晰夢)」から醒めたように柔らかなロケットから降りた3人。しかしアルバムが記憶として残り、日本でも発売されたのは素晴らしいことでした。今も、もしかしたら誰かの部屋で、遠くバンコクで生まれた音楽がこの日本で鳴っている。それがデータではなくて、カラーのブックレットや対訳付きの歌詞カードと共に大切にパッケージされた「モノ」として存在することって、ずいぶん素敵なことなんです。どんなに解像度の高い画像も、どんなにハイレゾな音声ファイルも、恋人の匂いや肌触りの代わりにはなれないように。

Jelly Rocket – How Long | Sofar Bangkok
山麓園太郎
山麓園太郎

彼女たちが夢を閉じ込めたこのアルバムはバンドが活動停止した今も鮮やかな印象を残す佳作です。ぜひ聴いてみてください。

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