山麓園太郎です。サワディーカップ。
僕の初タイポップス体験は以前Lulaの記事で書いた「Lazy Sunday 2」というCDですが、
僕のハートをわしづかみにしたLula以外にも様々な男女シンガーが参加しています。
Praew Kanitkulや、
Suveera Boonrodなどなど。※ちなみにこの曲のMVは、Lulaの記事で紹介したMV(カフェ店員のラブストーリー)の続編になっています。
CDで買いましたから当然1曲目から聴きます。初めて聴いたタイポップス、それがこの曲でした。Singto NumchokとKatie Pacificのデュエットです。
当時はとにかくCDジャケットの表記を頼りに検索をかけて、タイポップスのCDを取り扱う通販で取り寄せをしていましたから英語表記はとても助かったんです(笑)。Katie Pacificね。ふむふむ。
そして彼女のソロアルバム「Morning Star」を買いました。
ヒット曲満載!といった派手な趣のアルバムではないけれど、彼女の発音の綺麗な落ち着いた歌声が楽しめる佳作なんです。よくドライブの車中でかけたものでした。
アレンジが70~80年代の日本の歌謡曲っぽいところもツボでした。懐かしのTV番組「夜のヒットスタジオ」のような、バンド+ホーンセクション+ストリングスという編成を打ち込みを交えながら再現していて、懐かしい感じもしたんです。
そんなある日、FacebookでKatie Pacificのページを見つけて「お。ファンだし、最新情報もチェックできるかも♪」とフォローしたら・・・10秒でフレンドリクエストが届きました。え?事務所が運営してる公式アカウントにしてはずいぶんフレンドリーだなぁ、なんて承認したら。
ピコーン!と通知が鳴り、「Wow! Nice to meet you Ka」とメッセージが。え??まさかの本人?!
深夜に突然始まったタイと日本のテキストチャット。僕は旅行英会話もおぼつかない頃でしたが、オフラインにして逃げるわけにもいきません(笑)。Google翻訳を立ち上げて確認しながら、タイの音楽が好きな事、ラジオでタイの音楽を紹介してる事、あなたのアルバム持ってます、という事を伝えました。
彼女は日本の音楽が大好きだけどロックっぽいのはあんまり聴かない事、自分もかつてラジオ局でDJをしていた事、「Lazy Sunday 2」のプロジェクトディレクターが自分である事を教えてくれました。ジャケットの写真の女の子の人選からデザインまで。アルバム「Morning Star」も自分でアートワークを担当し、ブックレットのイラストも手がけたそうです。
彼女から聞く話は興味深いものばかりでした。例えばタイのヒットチャートの音楽には70~80年代の洋楽のエッセンスが感じられるけれど、なぜその時代なんだろう?という僕の疑問に、
「Lazy Sunday 2のプロデューサーのMr.LAZYは日本に行く度大量のレコードとCDを買って帰って来てた。もちろん当時からNong TaprachanやDoReMeみたいな輸入盤屋があったし、90年代にはタワレコもタイにお店を出していたでしょ。そこで洋楽を買っていた若い世代が作ったのがsmallroomのようなインディーズレーベルね。」
大手レーベルで現在役職についてるような人は富裕層の家庭出身で、学生時代に留学経験があり、海外の文化を直接体験してきた人が多いのだそうです。「Lazy Sunday2」にJ-POP、GMMの楽曲に70~80年代洋楽、smallroomの楽曲に渋谷系の残り香がするのも納得です。
僕はそりゃもうテンパってて、「もう寝る時間なので・・・」とチャットを終了した時には頭から湯気をシューシュー吹いていましたが、なんと翌月の放送でKatieとPraew Kanitkulの曲をかける事、それにあたってKatieから音声コメントをもらう事、Praew KanitkulへのインタビューをKatieを通じて行なう事まで決めていました。テンパった人間は何をしでかすかわからない、という格好の例ですね。
もっともそれまではネットで調べた情報と憶測、そしてタイ料理屋さんで読み方を教わった曲名だけでタイポップスを紹介していたんですから劇的な変化でした。その後「毎回Katieに代行インタビューを頼む訳にもなぁ・・・」と思い、以降僕は番組でかけるアーティストに中学英語で突撃インタビューをかましまくり、「タイポップス愛だだもれで日本からアタックしてくるからつい質問に答えてしまう何か変な」ラジオDJとしてバンコクの一部で局地的に知られるようになるんですが、それは彼女が僕のようなダメダメ英語の日本人にも気さくに接し、アーティストと繋がる事について背中を押してくれたからです。だからKatie Pacificは僕の大恩人なんです。
でもまだ実際に会った事がないんです。「会いたいなー」と思う人とは大抵ご縁が転がり込む僕ですけど、何人かいつもすれ違いの人がいる。きっとその人と会える時は、自分にとって大きな事が動く時で、今はまだその時じゃないよ、とエラワンの神様が言ってるような気がするんですけど。
彼女は「Morning Star」を自分にとって最初で最後のアルバムになるだろうと思っていたそうです。2013年。当時タイでは既に音楽メディアは配信に完全移行する寸前で、CD市場も、アルバムというリリース形態も崩壊しようとしていました。
実際彼女はこの後、CMナレーションや声優、はたまた「只今電話が大変混みあっております。しばらく経ってからおかけ直し頂くか・・・」といった裏方的な声の仕事に活動の軸を移しています。
2013年というと、当時日本でヒットしていたのはきゃりーぱみゅぱみゅ「にんじゃりばんばん」、ゴールデンボンバー「女々しくて」、洋楽ではアヴリル・ラヴィーン「ロックンロール」やポール・マッカートニー「NEW」等ですから既に「懐かしの」という修飾語がついちゃいそうですが、2000年代中期~2010年代中期のタイポップスには懐かし面白い作品が多いんです。これからも記事にして紹介していきますね。
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