「沼」って呼び名はちょっと違う

コラム

山麓園太郎です。サワディーカップ。

タイBLが流行って、その流れでタイポップスにも注目が集まって、先日Twitterで「#タイ沼ソニック」っていうハッシュタグでタイポップスを教え合うのが僕のTLに上がってきてですね、大変楽しく拝見して僕も1曲PAAMの「Your Story」を貼ったりしたんですけど。

雑誌等でも「沼」という呼び名で定着した感はあるんですけど、ねぇそれ今からでも変更できない?という、僕の「BNK48沼体験」からのお話です。


「AKB48世界選抜総選挙」のDVDを間違えて買ったんです。僕が目当てにしてた特典映像「 世界の伊豆田プロデュースBNK48チャープラン・ミュージックの友達何人できるかな 」が収録されてるのは「AKB48グループ感謝祭2018」の方だったんですよ。

DVD4枚組+ブックレット+生写真(ランダム)10枚この時は世界各国の支部から立候補者が出て、BNK48から2人がランクインしました

これ定価はビートルズの「ホワイト・アルバム50周年記念スーパーデラックスエディション」と大差無いので、見始めて間違いに気付いた時には10秒固まりましたね。生写真にはBNK勢1枚も入って無いし!

でも10秒で「まぁ、これはこれで記念だし、TV録画も消しちゃってたからちょうどいいか・・」とか言ってるんです。何がちょうどいいんだ。

アイドルをはじめとした趣味にのめり込み過ぎる事を「沼落ち」と言いますね。「ようこそ、アイドル沼へ!」という先輩諸氏の声が聞こえてくるようです。でも「沼」って言葉はどうかと思うんですよ。

世界共通のイメージみたいになってるじゃないですか沼。色がもうドブ色っていうか。そこかしこで「ゴポゴポッ」って臭い泡が音を立てていそうだ。

で、うっかり踏み込んだら抜けなくて、もがけばもがく程沈んでいって、助けを呼ぶんだけど誰も来なくてあえなく最後指先が飲み込まれて、絶望の静寂の訪れと共に日が暮れてゆく。という昔見た恐怖映画のシーンみたいな。いやそもそもそんな映画見た覚えもないのに。

つまり「底なし沼」のイメージにひっかけて「沼」と呼んでるんでしょうけど、ちょっと待ってください。


僕楽しいんですよ今?


間違えたのは痛恨だけど、BNK48出演シーンは楽しめたし、また頑張ってお小遣い貯めて今度こそ「感謝祭」のDVD買えばいい、という目標も出来たし。

そもそも助けてー!とか一言も言ってませんからね。

気持ち良く肩まで浸かってるんですから、むしろ「温泉」に例えて欲しいと思うんです。お金使って、お湯に浸かって。素敵じゃないですか。

僕はタイBLをタイポップス方面から見ていて「あぁ~これで日本でもタイポップスに興味持つ人が増える!あざーす!」と両手合わせてワイ(タイ式の挨拶)している程度の関わり方ですので、「2gether」のサラワットくんとタインくんというメジャーどころで例えますけど、「沼」っていうのはシチュエーションだと思うんですよ。沼は全国どこでも沼。僕が貧相な脳細胞で思い浮かべられるBL的情景って、


A:タインくんが底なし沼に落下。胸元まで沈んだところでサラワットくんが息を切らして駆けつける。「俺が必ず助ける!」
B:2人で底なし沼に落下。自分の身体を使ってタインくんを沼の淵へ押し上げようとするサラワットくんに対してタインくんが「嫌だよ!ずっと一緒だろ!」と火事場の馬鹿力を発揮して・・・

この2パターン及び若干のバリエーションしかない。

一方「温泉」っていうのはロケーションですよ。全国津々浦々に色んな温泉がある。もう「温泉」っていうだけでサラワットくんとタインくんが露店風呂(当然男風呂だ)でドキドキ!っていう情景がBL属性の無い僕にでも浮かんできますけど、お湯がにごり湯か透明かでもズッキュン加減は違うだろうし、お湯の温度によって風呂上がりの肌の色だって違うだろうし、内風呂に併設のサウナでととのっちゃった表情だとか、浴衣着て温泉街を散策する姿とか、部屋で夕食を楽しむ2人とか、離れて敷かれた布団をこっそりくっつけるタインくんとか・・・なんでこんなに豊富に情景が浮かぶのか分かんないけど(笑)、まぁ妄想は無限に広げられますよね。

「温泉」はそこからシチュエーションを生み出せるけど、「沼」はそれ自体がシチュエーションで、ただ沈むしかない。趣味にはまり込む様子を外から見た例えとしては確かに的確かもしれない。でも沈んでる本人にとっては心地良さと幸せに満ちている。それを自虐的に「沼」って言うより「この前行ったあの温泉がすっごい良かったの!」って人に言える世界の方が正しくないかなぁ?

特に今は女性でも趣味にドーン!とお金つぎ込む方が多いですから、なおさら「沼」より「温泉」の方がふさわしい例えだと思います。僕が趣味に全振りする女性の考え方を知って「なるほどー!」とリスペクト全開になったのは小学館の「浪費図鑑」を読んだのが最初ですが・・・

名著!乃木坂46ファンの女性のエピソードは必見。これで僕も決心がつきました(何のだ)

ちょうどそれと同じ頃に、こんな経験がありました。
バンドのリハーサルで劇場のスタジオを借りたんですよ。僕がステージ衣装着てギターしょって劇場に着くと、何故か外にもロビーにも小綺麗にした若い女性が沢山いるんです。


「僕のファンなわけないよな」当たり前です。

すぐ判明しましたが、ジャニーズのグループさんの公演が同じ日にあったんですね。

女性ファンは凄いな、って思うのはそのバランス感覚です。男のファンはつい「推しの物販に1円残らずつぎ込んでこそ華」みたいになっちゃって主にファッション面がおざなりになるんですけど、この時のジャニーズファンの皆さんは場所が劇場だというTPOを分かっていらして、それこそ結婚式やパーティーにも出席OKな服装で、メイクもヘアスタイルも靴選びも完璧で、大騒ぎする事なく、でも頬を紅潮させて開演を待っておられたんです。素敵でした。

「推しに恥をかかせない」これ大事ですよね。こんな素敵なファンばかりならきっとそのタレントさんも素敵な人なんだろうな、と思いますもんね。ここは僕もファンとしてそうでありたいと思うポイントですね。

このブログで僕は普段タイポップス温泉について熱く語っていますけれども、楽器を買ったりする温泉、中古レコードを掘る温泉といったものも僕の暮らしにはあるわけです。誰かにとってはクルマいじりやディズニー、スポーツやグルメがそういうものかも知れない。

世界中の人に男女問わずそういう「暮らしのなかの大好きなもの」があるんだから、ちょっとその度合いが強い事を「沼」呼ばわりせず、これからは「温泉」と呼んだらどうでしょうね?服を脱いで、浸かってみれば、泉質も効能もそれぞれ違うんだな。とわかるんじゃないでしょうか。

間違えて買った「世界選抜総選挙」のDVDで、100人の女の子のそれぞれ違った泣き顔を見ていてそんな事を思いました。

最後にタイポップスじゃなくてムッシュかまやつさんの映像を。この曲の3番の歌詞が僕の人生を規定したんですよね、大昔に。バックはティン・パン・アレイで客席で見ているのはユーミン。という珍しいものです。

「そうさ何かに凝らなくてはだめだ くるったように凝れば凝るほど 君はひとりの人間として幸せな道を 歩いているだろう」

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