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タイのJAZZも聴いてみよう

タイ音楽
僕の学生時代の教材
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山麓園太郎です。サワディーカップ。
タイはベトナム戦争の時代、米軍の補給基地となった事から急速に道路等のインフラが整備され、同時に兵士の慰安の為の観光や風俗産業が発展しました。ハワイ基地経由でウクレレ等の楽器やアメリカの音楽も持ち込まれたそうです。

もちろんこれ以前にも外国の音楽はタイに入っていましたが、その多くは富裕層の娯楽としてのもので、現在のように、洋楽やその影響を強く受けたタイポップが一般リスナーに届くようになったのは1980年代末だったと言われています。

2016年に亡くなられたプミポン国王はスイス留学時代(スウィング全盛~ビ・バップ誕生の時期に相当します)からJAZZに親しみ、御自身もサックス等を演奏する「音楽を愛する国王」でした。

JAZZも上記のように昔は一般には届いていなかった音楽であり、その後おそらくベトナム戦争時代に米兵向けのクラブ等でROCKやPOPSと共に演奏されるようになったはずですが、それでもまだ観光客向けの限定的な場での演奏です。現代ではどうなんだろう?というのが、今回のお題です。

僕も音楽学校では「JAZZ/ROCK科専攻」で、大変恐縮ですが一応「JAZZギタリスト」というカテゴリーのすごーく端っこの方に生息しておりますので、タイのアーティストと「ミュージシャン」同士として話す事も時にはあるんですが、JAZZを学んできた人はかなり多いです。

ドリーム・ポップバンド、Jelly Rocketのキーボード奏者のPakちゃんも大学でJazzを専攻。この8月にサマソニに出演するTELEx TELEXsのヴォーカルAomちゃんもそうです。大抵の大学に音楽の学部があり、作曲やアレンジだけでなく、音楽ビジネスやステージ音響・照明を教えている所もあります。

日本でも昭和の時代などは「お金持ち=家にグランドピアノがある」みたいなイメージが定着していましたけど、タイでJAZZやクラシックが(大学に通えるような)裕福な家庭の嗜みだった事、そして王様が音楽好きだった事と無関係ではなさそうですね。

それではタイのJAZZをご紹介していきましょう。
まずはギタリスト、Podchara Kumchaiskul。13歳からギターを始め、名門マヒドン大学(東大・京大クラス)で音楽を学びました。アルバム「View Of Third」をリリースしていますが、これが日本の音楽雑誌で紹介されないのがおかしい位の傑作。作曲や演奏のセンスにはカート・ローゼンウィンケルやジェシ・ヴァン・ルーラー等コンテンポラリーJAZZ勢に通じるものを感じます。

Podchara Kumchaiskul – The Big Daddy
ピアノを弾いているのは彼の大学での恩師Darin Pantonkomol。タイでジャズ理論のカリキュラムを作った1人だそうです。この曲「The Big Daddy」は彼に捧げたもの

続いてはサックス奏者のSanpond Sungkatabtimsung。高校で吹奏楽部にいた頃に使っていた楽譜が日本から購入したT-SQUAREの曲集。そこからCASIOPEA等のフュージョンやMISIA等のJ-POPに傾倒していったそうです。「Funktion」というバンドでも活動しています。

J-Lab – Sanpond Band [OFFICIAL AUDIO]
日本のフュージョンが好きすぎてこんな曲もリリースしています。2016年に来日した時は高木里代子さんのメジャーデビューアルバム「THE DEBUT!」も買っていました

こちらのバンドはスウィング時代の名曲「キャラバン」を現代の解釈で演奏している例。スナーキー・パピーや渋さ知らズが好きな人なんかは12分があっという間です(笑)

[MAD] Caravan – Duke Ellington | Passakorn Morasilpin & Friends

さてそんなタイのJAZZミュージシャン達に「バンコクでオススメのジャズクラブはどこ?」と訊いてみると、
「Brown Sugar」
「Saxophone Pub」
「The Bamboo Bar」(マンダリン・オリエンタル・ホテル内)
といったあたりが挙がるんですが、やはり旅行者やファラン(白人の人達)がよく行くお店ですね。これ以外だと「レストランでBGMが生演奏」とか。

JAZZというのは1940年代のビバップ誕生以降、理論で分析される事が多くなって、現代では「バークリー・メソッド」と呼ばれる一つの音楽理論のバリエーションによって世界各地でほぼ同じように教えたり学んだりしているんですが、その結果極度に様式化されています。

日本でもラーメン屋や和食で小さめの音量でJAZZが流れたりしてますけど、ああいう感じで既に環境BGMとして機能する位、「JAZZ」という言葉の持つイメージは固定されてるんですね。もちろんJAZZファンや演奏家はその中に個性や熱狂を感じ取るんですけど。

JAZZが現在置かれている状況はどうやら世界共通です。常に一定数のファンがいて、爆発的に増えたり減ったりしない。ポップスに比べるとマーケットはかなり小さいけどクラシックよりは大きい。演奏する場はそれほど多くない、というのは日本もタイも変わりませんね。逆に様式化されているからいきなりどこの国の人とでも演奏できるし、世界で活躍できるチャンスがある。JAZZというジャンルそのものが英語のような共通言語となっているんですが、これは最近の海外でのシティ・ポップの流行ともリンクする考え方じゃないかと思います。もう国はどうでもよくて、「シティ・ポップ」というジャンルにこそ磁場がある、という。

そう考えると「タイのJAZZも聴いてみよう」というタイトルがそもそも妥当なのか?と急に不安になってくるなぁ。えーと、「JAZZってよくわかんなーい」って言う人が大半だと思いますけど、もし好きになれそうな気がしたら生演奏に一度触れてみてください、僕等のギャラが500円位は上がるんで!(切実)

‎Podchara Kumchaiskulの「View Of Third」
‎アルバム・2015年・8曲
‎Funktionの"Solid Highway"
‎曲・4:14分・2015年

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