タイの音楽フェス「Cat Expo 6」が楽しすぎた(2)

タイ音楽

山麓園太郎です。前回の物販ブースレポートからの続きで、フェス1日目のライブについて書きます。FEVERの写真が多め・・・いや、大量です(笑)。

まず最初のライブは「H3F」(Happy Three Friends)を見ようと決めていました。彼らのEP「Cheesy Lyrics,Sloppy Groove」を聴いて、タイトルとは真逆の、全曲英語による歌唱と落ち着いた大人のムード(全員若いのに)に包まれた演奏にすっかり魅了されていたんです。

H 3 F – Just Sayin’ (Official Music Video)

彼らが演奏するのはステージ3です。

ビール会社がフェスのメインスポンサー。このステージには身分証明書がないと入れない飲酒OKゾーンが設けられています。
人目をひく恐竜のオブジェと、古代ローマの神殿のようなステージ!

客席は縦長なので、後ろの方だとバンドが米粒にしか見えません。前に突進します。

ギターがリッケンバッカーだ!渋い!!

バンドの息もピッタリ。彼らはタイの音楽ファンの中でも特に洋楽好きの層に絶大な人気があると分かりました。集まった観客が一緒に英語で歌っています。日本ならFIVE NEW OLDTHE BAWDIESに相当する、ニッチだけどとてつもなくカッコいい、そんなバンドでした。

ご飯を買いにステージ3を出ると、以前渋谷クロスFMで曲を紹介(この時は僕は選曲だけ担当で、出演なしです)したPetiteがフードゾーンで麺をすすっています。SNSでは繋がっていたけど初対面。この後のPOLYCATのステージにサプライズで出るのだそうです。そしてFEVERのメンバー、Spamは彼女の妹です。

PETITE – AI [Official MV]
彼女のアルバム「High Soul」もすごくいいのでぜひ聴いてみてください!

ご飯を食べてステージ4へ。入口に一番近いステージです。

ここで見たのはPYRA。「憑依系」って雑に例えちゃうと、ある程度伝わるけれど彼女のスケールはそんなもんじゃありません。実際既に海外で超有名どころとアルバム制作中です。いずれ日本にも洋楽として入ってくるんじゃないかと

Pyra – Inspiration

さて!僕はここからステージ3に戻って張り付きです。これが当日のタイムテーブル表なんですが、

僕がずーっと生で見たかったGENE KASIDITと、元Part Time MusiciansのNick率いるTEMP. 、その後はアイドル4連発でこのステージ3がCat Expo内アイドルフェスと化します。でも大親友のSTAMPも見たいのでFEVERまでは張り付こう、と。

わー!生GENEだ!!感激だー!!!

GENE KASIDITは2000年代にエレクトロ・パンク + グラムロック的バンド「FUTON」で活躍した人で、2013年のサマソニにも来日出演しています。この日はヒョウ柄でスケスケの、大きなスリットのドレスで颯爽と登場。

GENE KASIDIT – อีกนาน | Alone But Not Lonely [Official MV]
僕の大好きなタイポップスMVのひとつ。こういうお店で朝まで飲みたいです。バンコクか二丁目の(笑)

ここでも全曲観客がGENEと一緒に歌う「巨大カラオケ」状態ですが、「Alone But Not Lonely」は好きすぎてサビだけは覚えたので僕も一緒に歌いました!気持ちよかった!

タイポップスが凄いのは、この「色々な新旧アーティストのヒット曲を、観客がほぼ全員歌える」ところなんです。今僕の横でGENE見てる人はきっとこの後他のステージに行くけど、そこでそのアーティストの曲をまた一緒に歌うんですよ。

タイだって今はCD市場が既に壊滅していて、皆YouTubeや音楽アプリでスマホで聴いてるのに、何故こうやってコンサートで大合唱できるのか?これって、「音楽が大衆娯楽としていまだ有効である」ということじゃないかと思うんです。

音楽を一緒に口ずさみ、身体を揺らして楽しむ。このプリミティブな快楽に関して、「サバーイ(気持ちいい)」と「サヌック(楽しい)」を重視するタイの人は純粋性が高いんだと思います。

TVやラジオや街角でヒット曲が流れ、何ヶ月か歌われ続ける、っていうのは日本では1990年代までは普通のことでしたけど、その後は急激にJ-POP/J-ROCKが細分化して、それぞれのファン層があまり重ならなくなったというか、密室化して、そもそも歌番組なんかはごっそり減りました。音楽が「一般的な娯楽」から「個人的な嗜好品」になった。フジロックなどのフェスではもちろん盛り上がって踊りもしますけど、全曲一緒には歌いませんよね。これは「拝聴する」という国民性のせいでもありますけど。

一方タイの人は自分のお気に入りの歌手だけじゃなく、ドラマの主題歌やBNK48の「恋するフォーチュンクッキー」やルークトゥンまで、流行の曲は何でも聴いて、あっという間に振り付けや歌詞まで覚えてしまう。タイの人にとって音楽は「参加し、アーティストと楽しさを共有するもの」なんだと思います。

続くTEMP.も全曲英語の歌詞です。ゆるーいノリがクセになる、弛緩サバーイポップス!

temp. – Corn & Cheese [OFFICIAL VIDEO]

ここからアイドルコーナーが始まります。客層もそこはかとなく変わってきました(笑)。10代が目立ちますが、決して男子ばかりでもありません。その訳は次の出演者、JanChanの活動にあります。

JanChanはもともとBNK48の1期生です。Cat Expoの第4回に、BNK48としてステージに立っています。

Cat Expo 4 にて(撮影:山麓)

その翌年、2018年の春にBNK48を卒業し、シンガーとしてソロ活動を開始しました。それだけでなく、もともと「BNKのこじはる(小嶋陽菜 )」と評されていたルックスと清潔感を生かして、ファッションモデルや企業CM、北海道観光大使など日本に進出したのです。

日本の10~20代女子に向けて、彼女のメイク術やファッションが紹介されたスタイルブック

このスタイルブックの中で、JanChanはBNK48のオーディションに応募したいきさつについて「日本のこともかわいいものも大好きで、(BNK48の)メンバーになればかわいい衣装を恥ずかしくなく着られるし、ダンスも歌もアクティブで健康的だから」と語っています。つまりそれまでのタイのアイドルがK-POPの強力な影響下にあり、セクシーさを売りにしたものであったのに対し、BNK48がそれと真逆の強烈なカウンターだったことを彼女自身が自覚していたのです。そんな彼女と日本での活動はとても相性の良いものでしたから、JanChanはタイの女子たちの「憧れのお姉さん」的存在になりました。

伊勢丹バンコクともコラボ!

実際に間近で見ると本当に色白で綺麗です。ギンガムチェックの衣装が清楚さを一層際立たせています。女の子に対して「透明感がある」というほめ言葉をつい簡単に使ってしまいがちだけど、JanChanの持つ透明感こそが「本当の本物」という気がしました。

もう途中からカメラは止めて、ステージ上の彼女をただ見つめるばかりでした・・・。

อยากให้มาด้วยกัน – EARTH X JANCHAN [OFFICIAL MV]
Earth Patraveeとの共演による新曲「ここにきてね」。日本で撮影されたMVです

さぁ!いよいよFEVERの登場です。ステージ全体がイメージカラーの赤に染まり、生演奏のギター・ベース・ドラムスを配したオープニングに導かれてメンバー12人がポジションに着きます。

最初の曲は「Ghost World」です!

MVは何度も見て来たこの曲。振り付けが本当に見事です。上の写真は3列・前後4人で重なっていますが、ここから「千手観音」みたいな後列の動きが入ったかと思えば前列が身を沈め、最後尾でマイクを持ち歌うメンバーが現れる、など猛烈に複雑なブロッキング。指先まで使った細かなダンスが続きます。

激しい動きから一転ロボットダンスへ、と目まぐるしく振り付けが変わっていきます。凄い!何だこれ!こんな振り付け今まで見たことない!その後も曲ごとに様々なダンスを見せてくれます。

そして歌もリップシンクじゃなくて生歌です!そりゃTELEx TELEXsのAomちゃんが先生だもんね。

振り付けはPerfumeを相当研究したであろうとは予測していましたが、もしやマイケル・ジャクソンまでさかのぼって研究してる?と思った時に気が付きました。この子達の衣装、ハイウエストパンツだ!「ソウル・トレイン」だ!!

この衣装にこのポーズ!

デビュー曲「Start Again」のMVの印象から「タイの欅坂46」と呼ばれてきたFEVERですが、そこから更に発展した「何にも似ていない新しいアイドルグループ」として進化を続けているようです。いよいよ目が離せなくなりました。ともかく箱推し決定だ!(笑)

凄いもの見せてくれてありがとう、FEVER!いつか日本でも見たいよ!

この後もDAISY DAISYSweat16!とアイドルが続きますが僕はここで離脱。ステージ1のSTAMPへ向かいますが、

もう満員で入る余地がありません。泣く泣くモニターで鑑賞。

ステージから遠く離れたエリアでも、漏れ聞こえる音に合わせてノリノリで踊る人がいました。やっぱSTAMP人気は凄いわ。

その後BETTER WEATHERAUTTAのステージをチラ見しつつ締めくくりにTELEx TELEXsを見ようとステージ3へ向かいましたが、こちらも超満員でバンドは米粒。

望遠で撮ってもこれが限界。今日はこれで帰ることにします。

入場ゲートでは市内への送迎シャトルバス(予約制でした)を待つ列が既にできていましたが、僕と社長は流しのタクシーを拾うことにします。交通渋滞のせいでタクシーもノロノロ進んでいたので逆につかまえやすかったかな。何度か乗車拒否(タイではよくあります。特に夜遅いと「俺ん家の方角じゃないから」とかそういう理由で)くらった後いいドライバーさんに当たり、無事メーターでドンムアン空港方面へ。

この人たちが待つ送迎バスも周辺道路の交通渋滞で散々な運行状況だったそうで・・・

なんとか初日を乗り切りましたが、実はちょっぴり心細い気持ちでした。

僕はCat Expoの第3回の時、タイポップス道の師匠である「アジアン・ポップ・パラダイス!」の管理人さんに完全引率してもらって初めて参加。それ以来4回目・5回目とご一緒させてもらいましたが、今回は仕事が忙しすぎて管理人さんが不参加だったんです。

前回の記事で書いた「物販は初日に買う」を始めとした、持ち物/効率の良いブースの回り方/トイレ事情などのフェスの心得、そしてタクシーの拾い易い場所などなど、管理人さんにはいちから教わりました。その管理人さん不在で新規会場!タクシーに乗り込むまでは安心できませんでした。

「アジアン・ポップ・パラダイス!」さんは、僕がラジオでタイポップスを紹介し始めた頃にアーティストについて調べようと思って検索すると結果の9割がここだった、っていう位の情報量を誇るサイト。大量の過去記事もいちいち面白いのでぜひ。タイだけじゃなく台湾などの音楽情報も充実してますよ!

アジアン・ポップ・パラダイス!
タイ・台湾・日本などアジアの音楽・映画・ポップカルチャー事情を紹介します。通称・アジパラ! 旧・サイアム系で行こう!

次回は2日目のレポートです!

おまけ:この日のFEVERのステージはいくつかYouTubeに上がっていますが、中でもこれはフル尺・4K・60fps。ファンカムなのにマルチカメラ撮影ってどういうこと?!(笑)

191123 FEVER @ CAT Expo 6 [Full Multicam Fancam 4K 60p]

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